
ヘルパーさんに食事をさせてもらっているところを覗いた。
ヘルパーさん <あの人誰ですか> じっと私を見つめて
< 知らない人 > < お母さんの娘でしょう > 違うと言う。
母の中では私は子供のままなのかもしれない。
施設より連れかえってそろそろ二年になるが、帰ってきた当初は
私の顔も名前もわかっていた。 この二年間熱一つ出す事も無く
健康面では問題は無いが、確実に衰えてきている。
一人で寝ていることが多く、少しでも痴呆を防ぐには施設の方が
刺激があって良いのではと考え込んだ時期もあった。
ヘルパーさんの < 家が一番ですよ > に励まされ < そうで
なければやってられない > と開き直って今日まできた。
時々名前の代わりにお母さんと呼ぶ。母と言う事を忘れてしまいそう
なので。 < お母さん お母さん >と呼ぶと ハイ と答える。
寝ている部屋を覗くと、 おいでおいで と手招きをする。
何時も側にいて話かけていれば、少しは衰えも防げるのかもしれないが
今の私にはその心の余裕はない。
ゴメンネ お母さん!